第2章 始まりのキス
「えー…ここ何処だよ…」
いつの間にか俺は大ホールの裏側に来てしまっていた。
雅紀を探し初めてから1時間。
電話をしても繋がらない。
「もう…何処だよ雅紀…」
『智それ運んどいて』
『ふえーい』
ん…智…?
そのまま足を進めると、小柄な男性が荷物を抱えてこちらに歩いて来ていた。
智「ん?」
「………」
智と呼ばれた彼が俺の存在に気付く。
智「コンサートのお客さん?入口は向こうだよー」
垂れ目を余計に下げながらふにゃと微笑む。
「あ、いや…あの…」
さっきの黒いスーツの男達の言葉が思い浮かぶ。
『大野智見つけたら連絡しろよ』
「………大野さん…大野智さん…?」
智「ふぇ?おいらの事知ってるの?知り合いだっけ」
「あ、いやあの…」
その時…遠くのキャンパスからこちらを確認してる先程の黒スーツの人達。
「あの人達が…貴方の事探してて…」
その人達を指差した。
智「ん?………ちっ、マジかよ」
彼の表情が変わる。
今までとはうって変わって…眼光が鋭く光る。
すると黒スーツの人達がこちらに向かって走りだして来た。
智「面倒くせえなぁ。せっかくの学祭が…!こっちおいで!」
「え、あっ…!」
彼が俺の腕を掴み、走り出す。
どうしていいか分からず、俺もそのまま彼に着いて行った。