第2章 始まりのキス
ー翔sideー
「うわーすっごい人だなぁ…」
雅紀「本当だねぇ」
パンフレットを片手に俺達は人込みの中を歩いていた。
普通の学園祭らしい催し物と同時に美大らしい催し物もあり、大ホールでは有名な歌手のライブもやるみたいだ。
『大野智見つけたら連絡しろよ』
『はい』
『分かりました』
何となく声のした方を振り返ると…黒いスーツを着た男達の中に居る…一際目立つ男。
同じ年位だろうか。
かなり端正な顔立ちをしている。
けれどその表情はあまり穏やかでは無い。
一瞬その男と目が合う。
数秒程俺を見つめた後、その人は目を反らし、その場を去って行った。
何か…怖いな…。
「あれ?雅紀?」
気が付くと…隣にいた筈の雅紀が居ない。
「やば…」
いつの間にか俺は立ち止まってさっきの男を見ていたみたいだ。気付かずに雅紀はそのまま歩いて行ってしまったのだろう。
「どうしよう…」
俺はそのまま雅紀を探しながらキャンパスをウロウロした。