第14章 父と母の恋
翔父「来いと行ってるだろう!こんな場所に居るだけで胸糞が悪いんだ!」
翔「いやだ!!俺は智くんの側に居るって決めたんだ!」
翔父「うるさい!!早く来い!!」
松岡「いい加減に落ち着いて下さい!!」
1番背の高い松兄が間に入り、2人を引き剥がす。
翔「智くん…!」
そのままおいらの元に寄って来た翔くんを抱き締める。
翔父「俺の息子に触るな!!」
翔くんのお父さんが駆け寄って来る。
翔くんを庇おうとした時だった。
「………父ちゃん…」
黙っていた父ちゃんが…おいらと翔くんの前に立った。
翔父「大野…!」
智父「………いい加減にしろ。櫻井」
翔父「………」
「父ちゃん…」
翔父「息子を返せ」
智父「………そうやって…陽子の事も…力でねじ伏せていたのか?」
翔父「………誰のせいだと思ってる…大野…誰のせいだ!!大野…!!」
翔「………陽子…?陽子って…」
影山「………」
翔父「お前のせいだ!!お前が陽子を殺したんだ!!なのにこの期に及んで息子まで奪うのか!?」
智父「………」
翔父「翔。そいつはな…陽子を殺した男だ。お前の母親を殺したんだぞ。お前が好きだと言ってるその男は…お前の母親を殺した息子なんだぞ!!そいつの側に居る事が…母さんへの裏切りになるとは考えないのか!?」
翔「………考えたよ…。いっぱい考えた。でも…俺は智くんが好き。この人を愛してる…。何を言われても気持ちだけは変えられない…」
「翔くん…」
翔父「………」
智父「………」
翔父「………お前もか…翔…」
ふらつく翔くんのお父さんを影山さんが支える。
影山「旦那様。今日はお帰りになられた方が」
影山さんがおいらを見つめる。
影山「翔様の事暫く…宜しくお願いします」
「はい」
影山「翔様。後程ご連絡いたしますゆえ」
翔「うん…」
影山「………大野様。失礼致します」
そして2人は…部屋を出て行った。
父さんの背中が…少し小さくなった様に見えた。