第12章 10年前の真実
ー智sideー
「はぁー…やっぱり描けねぇ…」
屋上で煙草を吸いながらおいらは仰向けに寝転がっていた。
口から空へ上る煙をボーッと見つめた。
「………翔くん…」
愛する人の名前を呼んでみる。
………あいつのせいだ…。
あいつが蒸し返すから余計に考える様になって…1発殴っとけば良かったかなぁ…なんて…。
でも…あいつ…トイレであんな熱烈なキスしといて…翔くんとよりを戻せなんて………。
「いい…男だよな…」
おいらと…考えてる事は一緒って事か。
愛してる人の幸せを…1番に考えてる。
でもあいつが『俺じゃ駄目なんだよ』って言ってた様に…おいらじゃ駄目なんだよ…。
屋上の扉が開く音が聞こえたけど…おいらは視線を移さずに空を眺め続けていた。
「おい、こっち見ろよ」
聞き覚えのある声においらはようやく視線を移した。
「えっ…!?」
おいらの視界に入って来たのは…あの相葉雅紀という男と…隣に並ぶ…翔くんの姿だった。
翔「智…くん…」
「何で…?」
雅紀「話する為に連れて来た」
「お前…」
雅紀「翔ちゃんには何も話してねぇよ。無理矢理連れて来たんだ」
「………」
雅紀「お前にあんな事言われてパニくったけどさ…俺の無い脳みそで考えて…でもさ…どんな理由があっても…愛が消えてないなら一緒に居るべきだよ。1番大事なのは本人達の気持ちだろ?親が何かの罪を犯したって…子供には罪はない。好きなもんは好きだろ?」
翔「雅紀…?」
雅紀「知られたくないからって逃げるのは…卑怯だ。ちゃんと向かい合えよ。翔ちゃんに話して…翔ちゃんが許せないなら…仕方ないけど…このままだと翔ちゃん気持ちくすぶったままだろ。そっちの方がよっぽど残酷な事してんだよお前は」
「………」
雅紀「俺もう行くから。2人で話せ」
「………待てよ!」
翔くんを置いて立ち去ろうとする相葉をおいらは呼び止めた。