第12章 10年前の真実
翌日。
約束の場所に来ると雅紀は先に待っていた。
「おはよ…」
声を掛けるとソフトな微笑みを浮かべながら…雅紀は立ち上がった。
雅紀「行こうか」
「え?」
雅紀「行こう」
「何処…に?」
雅紀「あいつの居る大学」
「は…?」
戸惑って居ると雅紀が俺の手を握る。
雅紀「2人はちゃんと話をしないと駄目だ。翔ちゃん…俺に少しでも申し訳ないって気持ちがあるなら…あいつとちゃんと話して」
「でも…」
雅紀「そうしなきゃ…俺が諦めきれない」
「あ、雅紀…!」
俺の返事を待たずに雅紀は歩き出し、大学を後にした。
タクシーを拾って大学へ向かう。
その車内でも雅紀は…多くを語らなかった。
俺がジッと横顔を見つめていてもそれは変わらない…。
「雅紀…」
雅紀「………」
「………智くんは…俺の事なんか…もう…」
雅紀「それは会ってみないと分からないだろ」
「………会ってもくれなかったの雅紀…知ってるでしょ」
雅紀「俺が会わせてやる。話をさせるから」
「………」
雅紀「俺達の事は…二の次でいいから」
「………」
真剣な雅紀の表情に…俺はそれ以上何も言う事が出来なかった。