第12章 10年前の真実
ー翔sideー
風間の結婚式以来、雅紀は大学にも出て来ていないみたいだった。
毎日の様に理工学部に顔を出しても雅紀は居なかった。
俺の事…避けてる。
俺のせいで…。
影山「翔様」
「ん…?」
影山「顔色が優れない様ですが…大丈夫でございますか?」
「あ…うん…」
いつの間にか影山が俺の部屋に居た。
影山「それならばよろしいのですが…」
「………うん…」
影山「………翔様」
「………ん?」
影山「風間様の結婚式で何かあったのでございますか」
「どうして?」
影山「結婚式以来でございましょう。翔様のご様子が優れぬのは」
「影山は…何でもお見通しなんだね…」
影山「そんな事は…」
影山が眼鏡に触れる。
「あのね影山…」
影山「はい」
「結婚式で…智くんに会ったよ」
影山「………」
「馬鹿だね…。俺…まだ智くんの事…好きなんだ。そのせいで雅紀傷付けた…。最低だよ俺…」
影山「………翔様…」
泣くのは駄目だって…分かってるのにまた涙は溢れてくる。
雅紀への罪悪感と…智くんへの思いが…俺の中でぐるぐる渦巻いてる。
すると影山が…俺の肩に手を置いた。
影山「大野様との事は…分かりませんが…相葉様には…何度も謝ればきっといつか…許して頂けるかと…」
「でも…きっと許してくれない…」
影山「それでも伝えるのでございます。相葉様が翔様にとって失いたくないご友人であるならば…何十回、何百回と誤り続けるのでございます。そうすればいつかは…相葉様も翔様の事をお許しになられるかと…」
「………影山…」
影山「この影山が着いておりますゆえ。きっと翔様なら大丈夫でございますよ」
眼鏡の奥の影山の瞳が優しく光る。
「ありがとう…影山…」
雅紀を失いたくない。
だから…俺の気持ちを伝え続けよう。
俺はそう心に決めた。
でもその日は以外に早く訪れるのだった。