第11章 再会
トイレに入り、用を足して手を洗う。
キョロキョロしながら…結婚式場ってトイレも綺麗なんだなと感心した。
隣に並んで手を洗う雅紀と鏡越しに目が合い、微笑み合う。
雅紀がハンカチで手を拭きながら、俺の背後に立つ。
そのまま後ろから…抱き締められた。
「ま、雅紀…人が来るよ…」
雅紀「いいよ見られても…」
「………」
仕方なく、雅紀に身を預けた。
雅紀「さっきさ…風間が言ってたじゃん」
「ん?」
雅紀「『お前らも分かるよ』ってさ」
「うん」
雅紀「俺は分かるよ」
「………」
雅紀「翔ちゃんとなら…一生一緒に居たい。結婚したいよ」
「結婚って…俺ら男同士じゃん」
笑いながら鏡越しに雅紀を見たけど…雅紀は笑ってなかった。
雅紀「それ位…愛してるよ」
「………雅紀…」
思わず目を反らすと…肩を掴まれ雅紀の方を向かされる。
雅紀の顔が…目の前にある。
雅紀「翔ちゃんは…?」
「え…?」
雅紀「俺達もう5ヶ月だよね…」
「あ、うん…」
雅紀「………俺の事…好き?」
「………」
雅紀「翔ちゃん」
「す…好きだよ」
雅紀「翔ちゃん…俺を見て」
「み、見てるよ…」
雅紀「そういう意味じゃないよ。俺を…見てよ…」
「雅紀…」
答えられずに黙ってると…いきなり雅紀の唇が降りて来る。
「ん…んん…!」
逃げようと身を捩るけど…力の強い雅紀に肩を掴まれ動けない。
「ん…ふぅ…」
雅紀の舌が口内に滑り込み、声が漏れてしまう。
どんどん深くなる雅紀のキス。
腰が立たなくなって来た俺は…雅紀の肩にしがみついていた。
「はふ…ん…」
すると突然の足音と共に…誰かがトイレへと入って来る。洗面台に入った瞬間、その足音が止んだ。
見られた…!
雅紀も気付いたのか、慌てて唇が離れる。
そのまま入口へと視線を流すと…俺の思考回路が真っ白になってしまった。
「………さ…智…くん…?」
目の前に立って居たのは…紛れもなく、智くんの姿だった。