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【刀剣乱舞】守護者の恋

第5章 秘密の欠片


「本来刀であるべきみなさんが違う形でここに住んでいらっしゃる。そういう意味では、この場所はあるべき形ではない者たちが集まっている場所です」
「うん。そうかもね」
「そして、みなさんがそうであるのは、強すぎる、と言っても過言ではない魂の力と、今日苦しんでいらっしゃるみなさんの主の力両方によります。この家は一見普通に見えて、普通ではない者が集う場所。しかも、主の力によって時にこの本丸ごと時代を超えます。それが異常なことだということはおわかりですよね」
「うん」
「確かにな」
相槌をうつ二人。それへ、軽く束穂も頷きを返して言葉を続けた。
「時代を超えるのは、この本丸の主の力です。いつもはみなさんと一緒に主が過去に飛んで見送っていると思いますが、連戦が多い時は本丸ごと時を遡っていることもご存知でしょう」
それへも頷き返す二人。
「その時、本丸が過去に移ったからといって、現代の本丸が消えるわけではありません。人の目には本来あるべき場所にこの本丸があるよう……我々は移し身と呼びますが、それを保つ力は、わたしのものなんです」
「……えっ」
つい声が出たのは燭台切の方だった。長谷部は険しい表情で束穂を見る。
「いえ、本来は主もそれが出来るのですが、これだけみなさんの数が増えては、時代を超えるだけでも一苦労です。なので、ここ最近はわたしが移し身の現代側の本丸を作り出して管理しています。わたし達が本丸ごと過去に行っている間にたとえば盗人が門や壁を超えて入ろうとすれば、それを遮断したり……実際にはまだ前例はないですけど……それらは、わたしの能力で管理しています」
思いの外大きな話が出てきて、長谷部も燭台切もぽかんとする。
それもそうだ。今まで、ただご飯を作ってくれる、掃除をしてくれる、生活に関することをあれこれ助けてくれるだけの存在だった束穂が、なんだかよくわからないけれど「特別な力」らしきものを持っていると、こんな風に突然淡々と言われてしまっては戸惑うのも当然だろう。
「勿論、日常でも、この本丸は強い念を持つみなさんが集っているので、ちょっとしたことで空間が歪む可能性もあります。ありがたいことに今はその徴候はありませんが……そういう場合に、本丸にも、周りのご近所にもトラブルを起こさないようにするのが、わたしの力です」
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