第1章 プロローグ
二宮side
この日は俺が信頼している唯一の友達、雅紀と会う約束をしていた。
幼なじみの雅紀は売れないミュージシャンの俺とは違って、それなりに良いとこの会社の役員。
忙しいはずの雅紀から毎回週に1度、食事の誘いが来る。
今日はいつもと違う、しゃれた店で待ち合わせだった。
雅紀「あっ、かず。久しぶり~」
和「おう。」
雅「何食べるか決めよっか」
和「そーだな…じゃあ俺これで」
雅「じゃあ俺もそれにしよっと。あっ、すみませーん」
いやいや…こういう店では普通店員を大声で呼ばねーだろ笑
そう思って苦笑してる俺に
雅「なーに?いきなり笑い始めて…」
和「別にー?ほら、店員来てるよ?笑」
雅「わっ、すみません。あの、このコース料理の…」
雅紀といると自分がダメ人間だということを忘れることが出来るから好きだ。
俺の唯一心から安心して寛げる大切な時間。
その大切な時間の時に
これからの人生に深く関わる人物と初めて会うなんて
この時の俺には知る由もない。