第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「暑っちーなァ……。」
俺と不知火の二人掛かりで与えられた絶頂に半分意識を失った状態のを優しく横たわらせてから、不知火は身に着けている物をばさばさと脱ぎ始める。
細いけれど筋肉質で猛禽の様な鋭い身体。
浅黒い肌色が余計にその靭やかさを際立たせている。
男の俺でも見惚れちまう位だ。
何よりもその股間で聳り立つ一物は太さこそ其れ程では無いものの、長さは圧倒的だった。
あれならが好きだと言った最奥を突き捲る事だって………
邪な考えに支配され、俺はごくりと喉を鳴らす。
「オイオイ……
野郎に見惚れられたって嬉しくねーんだよ。」
「違っ…!
そんなんじゃねえ!!」
手の甲で額の汗を拭いながら、くつくつと喉を鳴らして俺を揶揄う不知火。
慌てて否定する程、図星を突かれたみたいで居たたまれねえ。
「原田ァ……手前ェもさっさと脱いじまえよ。
まさか着たまんまする公家の女みてえに上品な性交がお好みかァ?」
「……んな訳ねえだろ。」
苦笑しつつ脱ぎ始めた俺の身体を、今度は不知火の方がじっと見つめていた。
その視線が捉えているのは、俺の下腹に残る一本の刀傷だ。
「へえ……見事なモンだなァ、其れ。」
「若気の至りだ。
自慢出来る様な傷じゃねえ。」
「いや、結構……唆るぜ。」
「馬鹿言ってんじゃねえよ。」
不知火と軽口を叩き合いながらを見下ろすと
「はっ……あ…はああ……」
虚ろな目をして呼吸を荒げ、まだまだその身体に燻る熱は治まる気配は無い様だ。
「………早く楽にしてやりてえ。」
そう俺が呟くと
「何だァ……そりゃ俺を咎めてやがるのか?」
不知火は少し不服そうに自嘲する。
「そうだな……お前を咎める振りをして
自分の遣ってる事を正当化したいんだろうな……俺は。」
そして俺はの手首を拘束している腰紐をしゅるりと解いた。