• テキストサイズ

孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第11章 狂った三日月夜【薄桜鬼】


「悪いな……総司。」

酷く申し訳無さそうに微笑んだ左之さんは、僕の頭をくしゃりと撫でてから部屋を出て行った。

こうなる事は最初から分かっていた。

分かっていたのに伝えられずにはいられなかったんだ。

………僕がどれだけ左之さんに恋い焦がれていたのかを。

………僕がどれだけ左之さんを求めていたのかを。


それでも左之さんは何処までも優しい。

僕が告げた想いをきっちりと受け止めてくれた。

本当だったら気味悪がられても当然なのに……。

「好きだ」と告げた僕に向かって左之さんは「ありがとな」と笑ってくれた。

笑ってから「総司の想いには応えられない」とあっさり僕を拒絶した。

左之さんを恨むなんて筋違いだ。

そんな事は分かってる………頭では…ね。

だけどこの身体中で燻り続ける熱はどうしたら良いの?

自分一人で昇華させるなんて出来やしない。


だったら…………どうする?

だったら…………恨むべきは…………


「……ちゃん。」


僕はその名を呟き、抱えた膝に埋めていた頭をゆっくりと持ち上げた。
/ 834ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp