第1章 安心の時間
「ねぇ、俺らっていつから付き合ってたっけ?」
静かな部屋に突如響いた間延びした俺の声。
「は…?
なんだ、いきなり」
俺の問いに訝しげな声を上げるのは浅野学秀。
この学校の理事長センセーの息子であり、生徒会長サマ。
表向きは猫かぶってるから爽やかだけど、本心はあのパパにも引けを取らない程の腹黒。
「別に?なんとなく思っただけ。
あんま気にしないでいーよ」
殺風景な浅野クンの部屋のベッドでうつ伏せになり、携帯を操作する。
「でもさぁ。
頭良いあんたでも分かんないことあるんだね」
と、机に向かい勉強している浅野クンに挑発的な笑みを向ける。
「…今年の3月。
君が停学になる前で、E組に落ちる前だ」
溜め息と共に吐き出した。
「あー、そうだったね」
「分かってて言っているだろ」
真っ直ぐこっちを見て睨む。
「さぁ?」
そんな顔されても別に怖くなんかないし。
むしろ、俺しか知らない1面を見てるみたいで嬉しいっていうか…。
って、何考えてるんだろ。