第11章 離さない、楽しいな。
「オマエ、ここのメイドなのか?」
「はっ、はいそうです。」
冷たく、心のこもっていないその声に驚き牡丹は、少し声が震えていた。
「人ってさ、なんつーか、見た目と反して
淫乱だったりするよなぁ。」
「え…?」
「まー、それはさておき、俺は十文寺リツだ。ハヤトとは同い年で従兄弟に当たる。」
リツは、牡丹に笑いかける。その笑顔はわかりやすいほどの作り笑い。目は死んでいて、見下ろす様に目を見つめる。
その姿に、牡丹は、恐怖を覚える。
形容し難い恐怖心に耐えられず、部屋を出ようとすると、回り込まれ、扉を閉められてしまう。
近づいてくるリツに後ずさると、扉にぶつかってしまった。
ドンっと牡丹擦れ擦れに手を突かれ、身体をビクッとささてしまう。牡丹の耳に近づき囁かれる。
「よろしくな、牡丹。」