第11章 離さない、楽しいな。
ハヤトが出かけてから数日が経ったある日。
ハヤトの部屋から物音が聞こえてくる。ハヤトの部屋は、牡丹以外立ち入り禁止となっている。ハヤトが帰ってきたのかと、胸を躍らせながら部屋に小走りで向かう。
何故、胸がドキドキしているのか、自分でもわからないままドアノブをひねる。
「ん?」
「え…?」
牡丹の目の前には、見たこともない人が部屋の本棚の前に立っていた。
ハヤトより身長が高くおそらく175センチはあり、髪の毛もハヤトより長めで、染めていて茶色より明るく、窓から差し込む光にキラキラと輝いている。
微かにその人が微笑んだことを、牡丹は気づかなかった。