第8章 離さない、寂しいよ。
喉が乾いた牡丹は、ワイングラスに手を伸ばす。
「…。」
「…!水じゃないの?」
無色の液体だったので、水かと思い口をつけたが、ワインだったらしい。
アキラが飲んでいたワインを舐めさせてもらった時、苦くてむせた事があった。
「お子ちゃまには早かったね。」
「はぃ…。あれ…。」
牡丹は顔を真っ赤にしていた。一口誤って飲み込んでしまったが、酔いにしては回りが早い。アキラが酔いはそんなに早く来るものじゃないから、いつも飲みすぎると話していたのを思い出していた。
「大丈夫?」
「だぃ…じょうぶ、です、」
牡丹は呂律が回らなくなっていた。
フラフラし、ハヤトに掴まれたところが熱い。
「僕の部屋に。」
「ゃれすっ、」
ハヤトは牡丹をお姫様抱っこで持ち上げると、部屋まで連れ行った。
途中、牡丹は抵抗するが、力が入らず腕を退けようとする行為は、添えているようにしかなっていなかった。