第2章 歓迎
「お父様とお母様はいないんだね。」
「…。」
ハヤトは黙り込んでしまった。
聞いてはまずいことを聞いてしまったのかと、不安になりながら、牡丹は椅子に腰掛けた。
「は?何座ってんの?何様のつもり?」
大声をあげてテーブルを両手でバンっと叩く。乗っていたお皿も振動で揺れてがしゃんと音を立てる。
突然、ハヤトの態度が急変して牡丹は戸惑い、瞳には恐怖の涙すら浮かべていた。
「えっ?」
「牡丹は奴隷として預けられたんだ。
奴隷が椅子に座る?
はははは!
身の程知らずにも程があるだろ!!」
そう言い、食べていた食べ物が乗っていた、お皿をハヤトはまるで怒りを当てつけるように、床に叩き落とした。料理は床に散乱し、お皿も跡形もなく割れた。
奴隷ってなに?
怖い
さっきまでの彼じゃない。
逃げなきゃ。
牡丹は直感で感じた。この人は一緒にいては危険だ。