第3章 落葉
襖を覗くと、確かに、五人がいた。
だけど、ゲームをしてた訳でも、AVを見てた訳でも、ない。
普段泣くことなんてない一松と十四松が嗚咽を上げて泣いていた。
トド松とチョロ松は口論を言い合って
おそ松は静かに酒を飲んでいた。
皆の声に耳を澄ますと小さな声だが、確かな音が聞こえた。
「……お前のせいじゃない。トド松。だから泣くな、」
「だって!僕のせいで、カラ松兄さんが……!」
「絶対帰ってくるよ、」
「お前、ホントは大好きだったんだな、アイツのこと。」
「あぁ、誰よりも。」
「………俺のせいだ。」
「兄さんだけが悪いんじゃないよ!皆の…せいだ。」
「皆!泣かないで!………ぅ、うぅ~~~ッ!」
「十四松……」
皆………何を泣いているんだ?
トド松が『僕のせいでカラ松兄さんが』と、言った。
つまり、俺がトド松に何かをされたって事だ。
しかし、俺はトド松達に何かをされた覚えなんてない、
ましてや、泣かしたり、夜中にこっそり家族会議をしなくてはならないほど非道いこと等、あるわけない。
《お前、五月蝿いよ?》
「!?」
誰の声だ?
未だに思い出せない。
皆は居間にいるはずだから、幻聴なことは脳の中で理解していた。
ズキッ
「ッア…………!」
痛い。
頭が痛い。
昨日見た夢を思い出した。
あれば夢だ。
目の焦点がハッキリしない。
痛い。頭痛が酷い。
いたい
イタイ。
皆が俺を見てイタイ、と言う。
こういう気持ちなのか?
ゴメンな、ブラザー。