第7章 自由の理由
今日は4月10日。
紫音の21歳の誕生日だ。
あたしは今、花音さんの部屋のクローゼットの中にいる。
遡ること1週間前。
紫音の家にいる時、花音さんに呼ばれた。
「七瀬ちゃん、ちょっといい?」
リビングであたしと紫音が話していると、あたしだけ花音さんの部屋に連れて行かれた。
「どうしたの?」
「もうすぐ紫音の誕生日でしょ?何かサプライズがしたくて!」
花音さんは何かとサプライズが好きだ。
相手に秘密で計画を立てるドキドキ感が好きというか。
「サプライズかー…。」
これといって何も思い浮かばず悩んでいると、花音さんが意気揚々と言った。
「紫音の部屋に隠れて、驚かすのはどうかしら?」
花音さんの姿が見当たらなかったら冗談では済まないくらい心配するだろう。
このアイディアには賛成できなかった。
「それはちょっとやめといた方がいいかも…。」
苦笑いをするあたしを見て、花音さんは別のアイディアを考え出した。
「他に何かあるかしら…。」
「んー…あ、じゃああたしが隠れるから、妖精さんも協力して?」
あたしなら、紫音もそれほど心配しないだろう。
花音さんは大きく頷いた。
「わかったわ!作戦を考えないとねっ。」
サプライズというよりはドッキリを仕掛ける感じだが、花音さんが楽しそうなので良しとした。
紫音のことだ、最後にあたしが出てきたら笑って流してくれるだろう。