第1章 二人の事情
本当は、大学祭のあの日…写真部の部室で紫音と二人きりで話した時、あたしは彼に恋をしたのだと思う。
紫音はあたしより背は低いし、体は華奢だし、顔立ちは女の子に負けないくらい綺麗で。
だけど、外見とは裏腹に性格は意外にも男らしく、大胆。
比べてあたしは、身長は170センチメートルもある大女。
人前で素直に甘えたり泣いたりすることが苦手で、可愛げのない女だと自分でも思っている。
だから、最初はからかわれているのだと思っていた。
紫音は掴み所がなく何を考えているか分からない部分があったから。
そんなあたしと紫音の関係が変わったのは、親友のシュリから初めて"白血病かもしれない。"と聞いた日だった。