第10章 運命の日
明日、あたしは大学を卒業する。
それよりも、その次の日の事で頭がいっぱいだった。
明後日、あたしと紫音の運命が変わる。
必要最低限の荷物を纏めながら、ふと、パスポートが目に止まった。
まさか海外まで逃げる事にはならないだろう。
そう思ったが、一応パスポートも鞄に入れた。
あたしはその日、紫音の家に荷物を預けに行った。
あらかじめ荷物を紫音に預けておいた方が良いと思ったのだ。
「じゃあ、また明後日ね。」
玄関先で紫音に荷物を預けて帰ろうとすると、紫音に頭を撫でられた。
「七瀬、大丈夫だからね。」
幾度となく聞いてきたこの言葉。
紫音と一緒ならきっと大丈夫。
そう信じて、力強く頷いて笑ってみせた。
翌日、あたしは無事大学を卒業した。