第5章 同盟
高尾のお腹は、血で赤く染まっていた。
「ぐはっ…。」
「た、高尾っ!」
高尾の口からも血が吐き出され、緑間は目を見開きにさせて高尾に向かって叫ぶ。そして、すぐに緑間は宮地に向かって矢を放つ。宮地は、急いでその矢を避けようと体を捻る。しかし、その矢は宮地の右肩に刺さる。
「がっ!」
「宮地!」
木吉は宮地の事が心配して叫ぶ。だが、高尾の怪我と比べれば、傷は浅い。日向は高尾の怪我を見て言った。
「高尾、お前はさっさと帰って治療を受けろ!」
「え…あぁ、そう、させて…もらい…ます…。」
高尾は、声を振り絞って日向に返事をして、鳥族の領土に向かって飛びたつ。日向達は、高尾が無事に逃げられるように援護をするのだった。緑間の瞳を見れば、怒りを露わにしていたのだった。
高尾は、鳥族の領土に向かって飛んでいるが、血を多く失いすぎて眩暈が酷かった。
―――やべぇ、もう、流石に…。
高尾は、力なくその場に落ちていった。その高尾が落ちていく姿を見ていた人物がいた。その人物は、高尾が落ちていった場所へと向かうのだった。
高尾が落ちていった場所は、木々が多くあった為、クッションになり大きな怪我をすることなかった。その瞬間、高尾の近くでガサっ!と草を踏む音が聞こえてきた。高尾は焦りを感じていた。今の高尾は、血を多く失った為、戦うこともままならない。
やがて、高尾の目の前に現れたのは、フードを被った結紀の姿だった。そう、落ちていった高尾の姿を見たのは結紀だ。そう、今、高尾がいる場所は吸血鬼の領土だった。
だが、高尾にとって敵にしか見えない。ますます、焦りを感じてしまう高尾。