第4章 信頼関係
「…お前、怪我を…。」
「君も無茶をしてくれるね…。僕達にも頼って。」
結紀は、昴輝と彰を見る。やがては、そうだね…と呟くように言っては立ち上がる。なかなか気づかないと思われるが、結紀の傷口が少しずつ塞がっていく。回復力が高いと分かる。
「…血を貰うぞ。」
昴輝は、結紀に静かに言っては、傷口から出ている血をゆっくり舐めとっていく。僕も…と呟くように彰も言っては血を舐め取っていく。結紀の血を飲んだ2人の瞳孔は細くなる。それだけではない、金色にギラギラと光る。
そう実は、結紀の血には能力を上げる効果がある。能力を上げた昴輝と彰の周りの空気は冷たく流れ始める。更に、結紀の傷も完治してしまった。
「さて…始めようか、死神。」
結紀の言葉は、先程よりも殺気が感じられる。雰囲気からにして、岡村の頭の中では撤退という言葉が浮かんだ。間違いなく、ここでこの吸血鬼達に殺されると感じた。
「紫原、根武谷、撤退じゃい!」
「あ、あぁ…。」
根武谷は、どこか納得していなかった様子だが、危険と判断したので岡村の指示に従う。だが、岡村の言葉に耳を貸す気がない紫原。このまま、戦闘を行うつもりだろう。
「逃がすと思うか?」
昴輝の行動が速かった。既に、紫原の目の前に姿を現す昴輝。右手を鋭くさせ紫原の体を貫こうとする。紫原は息を呑み込み、昴輝の攻撃を避けすぐに離れる。
離れる際に、紫原は昴輝に向かって鎌が襲い掛かる。