第4章 信頼関係
死神の鎌は破壊するには、ほぼ不可能に近い。死神の鎌は特殊だということだ。鎌は消せなくても、鎌を持っている本人を倒すことで鎌は消える。
昴輝は、飛んできた死神の鎌を素早く避ける。その瞬間、紫原の背後には彰がいた。爪を長く鋭くさせた彰は紫原を斬り裂こうとする。だが、その攻撃も紫原は避ける。
紫原の表情を見れば、どこか苦しそうな表情を浮かべていた。ブシュ!肉が裂ける音が聞こえてきた。紫原はゆっくりと目を動かし、聞こえてきた方向を見る。紫原の左肩から手が出ていた。その手の正体とは…。
「…外れたか…。」
「お…お前…。」
そう、結紀の右手だ。結紀の右手が紫原の左肩を貫通していたのだ。そこから、流れ出す大量の紫原の血。結紀はすぐに右手を紫原の左肩から抜く。やはりその傷口から溢れ出す赤い血は、徐々に地面を赤く染めていく。
「…っ…。」
「紫原!逃げるんじゃい!」
岡村は紫原にそう叫び、黒い霧を出す。すぐその場から結紀達は離れる。黒い霧は、紫原、岡村、根武谷を包み込み、黒い霧が消えた頃には3人の姿はどこにもなかった。
「チッ、逃げられたか…。」
昴輝は、不機嫌そうな表情を浮かべていた。瞳を見れば、金色の輝きは消えていた。元に戻ったみたいだ。それも、彰も同じだ。結紀は、フードを取り、紫原の血で染まった右手を舐め始める。
「…美味しい…。」
紫原の血を舐めては、そんな事を言い出す。結紀…と名前を呼んだ昴輝は、結紀の右腕を取り、紫原の血を舐め始める。