第4章 信頼関係
「ねぇ、結紀。楽しんでいるようだね。」
僅かに笑っている結紀の様子に気づいた彰が問い掛ける。結紀は、そうだね…と静かに答えるのだ。
「さて…どこまで、楽しませてくれるかな…?」
「…オレにとってはどうでもいい。けど、俺達の役目は変わらない。」
「吸血鬼が滅びようとも、僕達は…結紀を護るよ。例え、地獄の底でもね。」
「嬉しいこと言ってくれるね…。」
「だって、そりゃ…。」
昴輝が言おうとした言葉が止まった。そして、わざとなのか、ゴホンっ!とむせていた。でも、僅かながら昴輝の頬は赤く染まっていた。昴輝の行動に首を傾げてしまう結紀だった。
その様子を見ていた彰は、クスクスと小さな声で笑っていた。昴輝の言葉と行動で笑ってしまったみたいだった。
―――昴輝の意外な行動が見られた。それに、結紀は気づいていない。見ていて、飽きないよ。
だけど、こんな和やかな雰囲気をぶち壊すことが起きた。今まで、楽しそうな表情をしていた結紀が急に引き締めた表情へと変えた。そして、ある一点を見つめ始めた。
見つめていたというより睨み付けていた、っと言った方がいいのかもしれない。その異変に気付いた2人は沈黙をする。
「…結紀、どうした?」
「……侵入者。気配だと…死神かな…。」
「人数は分かる?」
「2人…いや、3人かな…。」
結紀は、手を顎にもっていき何か考え始めたのだ。今回、相手は死神で何よりも少人数だった。だけど、すぐに考えることをやめる。