第4章 信頼関係
「私の考えですが、頭首が昴輝君だというのは嘘だと思うんですよ。」
「はぁ?」
「へっ?」
桃井の言葉に、宮地と相田は驚きの声をあげる。桃井の持っている資料には『頭首:昴輝』と書いてある。何も違和感はない。だが、桃井にとっては違和感があるというのだ。
「まるで彼は、誰かの身代わりになって頭首をやっている…っていう感じなのですよ。」
「その誰か…っていうのは?」
「そこまでは、さすがに…。」
桃井の考えは鋭かった。まさか、ここまで考えられているとは、流石の結紀でも知らないだろう。宮地が、さて…と声を出したところで…。
会議室の扉がバン!っと勢いよく開いたのだ。そこには、どこか慌てたような表情をする門番の姿だった。
「た、大変です!!鳳凰族の部隊が此方に来ております!」
「はっ!?急だな!」
門番の言葉を聞いた宮地は、嫌そうな表情を浮かべて部隊表を広げて指示を出す。宮地は、門番から情報を聞き出す。鳳凰族は、1部隊で攻めてきている。だが、その1部隊でもかなり強力なのは事実だ。
流石、族の中で最強の鳳凰族だ。
「おい、木吉はいるのか?あと、土田だ。」
宮地の口から2人の名前が出てきた。相田は、ちょっと待ってね…と一言言っては連絡を回し始める。
すると、すぐに会議室の扉が開いた。どうやら、偶然でも近くにいたから、すぐに駆けつけられたのだ。
「リコ、緊急事態だって?」
先に顔を出したのは木吉 鉄平だ。ここの守りとしては、トップを立つものだ。
「カントク、今度は何をするんだ?」
相田の事をカントクっと呼ぶのは、土田 聡史だ。それだけ、相田も指揮官としてかなりの実力者だ。