第7章 護るべき者
その行動に結紀は、驚きを隠せない。彰は、強く強く結紀を抱き締める。
「結紀、僕の……血を吸って……。お願、い…。」
「……。」
彰の声を聞いて、本来なら反対する結紀だったが、彼の願いだったため従う。結紀は口を開け、彰の首筋に噛み付く。そして、彰の血を吸う。
彰の血はとても甘かった。結紀が血を吸っている際に、彰は結紀の頭を優しく撫でる。吸うたびに、彰の体温はどんどん冷たくなっていく。やがて、結紀は吸うことを止める。
結紀の口は彰の血で真っ赤になっている。それを見た彰は、ありがとう…と弱々しく言う。結紀が、やっとの思いで口を開く。
「やだ……。彰、我との約束は…!?」
結紀の表情を見た彰は、言葉を詰まりそうになった。けど、これはきちんと伝えないとならない、と感じていた彰は、先程よりも力強い声で結紀に言った。
「ごめんね…。君との約束…守れない。本当は、最後まで守りたかった…。全部、昴輝に任せちゃう…。だけど、これだけは伝えたい。」
彰は結紀の右頬にキスを落とす。その行動に、周りの人もそうだが、結紀自身も固まってしまった。だが、彰は先程よりも柔らかい笑みで、結紀と目線を合わせて、最後の言葉を伝える。
「僕は、君が好きだよ。勿論、1人の女の子として。君の笑顔は僕の心を温かくしてくれる。ありがとう…。ごめんね。さようなら…。」