第7章 護るべき者
そして、結紀は覚悟を決めてコートを脱ぎ捨てる。その姿を見た赤司は、少しばかり驚いた表情を浮かべていた。すぐに赤司は結紀から離れる。
「驚いたね。キミの正体は頭首だと分かっていたけど、まさか、女性だったとは…。これは僕でも予想外だよ。」
「…だろうね。」
その瞬間、結紀が赤司の目の前に立つ。その速さは赤司にとって予想外なのか先程よりも驚いた表情へと変わった。右手で赤司の心臓を貫こうとする結紀。赤司は、その攻撃を避け、刀で結紀を斬ろうとする。
しかし、赤司からすぐに結紀は離れる。よく見れば、結紀の瞳は金色にギラギラと光っていた。その戦いを見ている昴輝は自分が動けなくて情けない、と感じていた。
「キミが谷矢を殺したのは…?」
赤司の問いかけに、結紀は一瞬動きが止まる。やがては、静かに答える。
「…だとしたら?」
「なるほど…。」
赤司はそれだけを言って、急に炎が刀を包み込み消えていった。どうやら攻撃するつもりはなくなったみたいだ。赤司は、息を静かに吐き出し仲間たちに伝える。
「撤退しよう。今回はかなりの収穫ができたからね。」
「待て!逃げるのかっ!」
撤退命令を出す赤司に対して、昴輝は今にでも赤司に攻撃しようとしていた。しかし、それを制する結紀。
「結紀っ!アイツは!!」
「このままでは、負ける。吸血鬼族が全滅するよ。それでも?」
「……っ!!」
結紀の言葉に昴輝は何も言えなくなった。それだけではない。結紀は、とても悲しそうな表情しているようにも見えたのだ。