第7章 護るべき者
赤司の言葉に吹き飛ばされたはずの白銀は驚きの声をあげる。どうやら思っていたよりも早く立ち直ったらしい。赤司は、そうだというばかりに頷き、刀を構える。
「絶対は僕だ。僕に逆らう奴は親でも許さない。」
赤司の言葉はやはり重々しく感じる。まして命の危機を感じるほどだ。ここまで危険だということは、今までなかった。危機感を持ちながらも、結紀頭の中で必死に考える。このままでは、3人とも殺される…と。
赤司から視線を逸らしてはならない。逸らした瞬間に、攻撃してくると感じたのだ。
「昴輝は、退いて―――――」
結紀が昴輝に退くように伝えようとした時、目の前には赤司がいた。1秒たりとも逸らしていないのにも関わらず。突然の出来事に、結紀の体は動かない、思考も停止している。
だが、感じたのは「死」という文字が頭に浮かんだ。マズい、と思いながらも動けない。結紀の体はまるで石で出来たような感覚だった。
「「結紀っ!!!」」
昴輝は、左手で結紀の裾を掴み全力で自分の方へ引っ張り、自分が上に重なる。結紀を護るように。ザシュっ!と肉が斬れる音が聞こえてくる。目の前には赤い物が飛び散る。
その瞬間はやけにゆっくりと流れる感覚へとなった。だが、斬られたのは、結紀でも上に重なった昴輝でもなかった。斬られたのは、彰だった。右肩から左腰へとバッサリ斬られていた。
結紀と昴輝の思考は停止した。赤司の表情はどこか不機嫌に見えたが、彰から離れた。