第7章 護るべき者
桜井から詳しく聞いたところ、赤司自ら率いているという話だ。吸血鬼族の領土に到着するまで、時間がないのだ。結紀は歯を食い縛り昴輝達に指示を出す。
「これから、鳳凰族を迎え討つ。各それぞれ戦闘体勢に入ってください!」
結紀の言葉で、バタバタと吸血鬼族は忙しそうに動き始めた。すると、結紀は日向の方を見る。日向は無言で頷き、伊月や緑間達にも戦闘態勢に入るように指示を出す。
そして、ここから昴輝の指示となる。結紀が頭首だということを広めないためである。結紀は、昴輝と彰と共に、会議室を出て行った。その背中を追いかけるように日向達も出て行ったのであった。
結紀達が現場については、既に戦闘が始まっていた。思っていたよりも鳳凰族と死神族の到着が早かった。戦闘場所には、実渕、虹村、紫原、岡村、根武谷の姿はあったが、その場所には、鳳凰族と死神族の頭首の姿が見られなかった。
エリートのメンバーがいるにも関わらず、頭首の姿が見られないのはおかしい、と違和感を覚えた結紀だった。すると、日向が指示を出す。
「戦闘開始!伊月、緑間、高尾、桜井、いくぞっ!」
鳥族の頭首も動き始めた。そして、昴輝が他の吸血鬼達に指示を出そうとした時に起こった。
「頭首っ!上!」
「っ!?」
結紀の咄嗟の掛け声で、昴輝や彰はその場を離れた。その瞬間、ドーンっ!と大きな音が広がり、砂煙が立つ。そう、気配とか全く感じることなく、いきなりの奇襲攻撃だった。