第7章 護るべき者
「…あぁ…どうやら、鳳凰族と戦闘になったらしい。」
日向が昴輝の代わりに答える。鳳凰と…?と首を傾げる緑間と高尾。疑問を抱くのは当たり前だと思う。いつもなら戦闘開始の合図があるはずなのに、それが行われていなかったからだ。
今回の出来事を緑間や高尾にも話す。完全に気配を消す人物のことを。それを聞いていた緑間は、頬に嫌な汗を垂らす。やがては、恐る恐る言葉を出す。
「…嫌な予感しかないのだよ。何も起こらなければいいのだが……。」
「………真ちゃん…?」
緑間の言葉に、高尾が不思議そうにしていた。いや、高尾だけではなかった。この場にいる全員が思ったことだ。
谷矢が亡くなったことに、いち早く感じたのが死神達だった。紫原は赤司の前に姿を現す。それも珍しく紫原が複雑そうな表情をしていた。そのことに気付いた赤司。
「どうした、紫原?何かあったのか?」
「う〜ん、あのさ〜赤ちん。さっき―――」
紫原が言おうとした瞬間に、バンっ!と勢いよく扉が開かれた。そこにいたのは、実渕だった。その表情は、どこか焦っていた。
「大変よ、征ちゃん!」
「実渕、どうかしたのか?」
「……悠が、死んだわ。」
「…っ!?」
実渕の知らせに、赤司の動きが止まる。赤司は冷や汗をかく。そのまま思わず、赤司は紫原の方を見る。紫原は複雑そうな表情をしながら赤司に告げる。
「赤ちん、ホントだよ〜。谷ちんの魂が消えたし。けど、死神が喰った様子はないんだよね〜。」
そう紫原が先程、赤司に伝えたかったのは谷矢が亡くなったことだった。赤司は力無く項垂れる。赤司の脳裏には、いつも「若」っと呼ぶ谷矢の姿が思い浮かべる。だが、今はそんなことはもうない。