第7章 護るべき者
「…頭首、信じて下さい。必ず、戻ります。」
「…っ。」
結紀の声を聞いて、昴輝は何も言えなくなった。喉の奥が塞がれたように感じた。すると、昴輝の肩にポンっと、優しくおく彰の姿があった。
彰の瞳を見て昴輝は、更に何も言えなかった。まるで、悔しいけど…結紀の指示が優先ということを悟っていた。
「必ずだぞ。」
「…はい。」
昴輝は、歯を喰いしばってその場から彰と共に離れるのだった。2人がその場から離れたことを確認した結紀は、谷矢の方向を見る。そして、爪を長くして攻撃体勢に入る。
谷矢も攻撃体勢に入る。だが、結紀が谷矢を見た瞬間、目を見開く。なんで…そんな顔をするの?そんな風に思ってしまった結紀は言葉を失ってしまう。心の奥が縛られる感覚に捕らわれていた。谷矢の表情は、嬉しそうな顔をしながらも瞳はとても悲しそうにしていた。
「やっとだ…。オレは――――」
谷矢は、静かに呟いていた。そして、結紀と谷矢の戦闘が始まったのだった。
先に、会議室に戻っていた昴輝と彰。どこか落ち着きのない昴輝は、会議室をウロウロと動き回る。その表情は、複雑そうな顔を浮かべていた。心がざわめいているのだ。彰も、いつもよりも静かにしては席に座っていた。
その様子を見ていた日向と伊月。
「気持ちはわかるが…少しは落ち着けって。」
「これが、落ち着いていられるか!いくら、命令とはいえ…。」
日向は昴輝を落ち着かせようと声をかけるが、効果は逆みたいだった。怒りの感情のまま日向に強く言ってしまった。