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血の争い【黒子のバスケ】

第7章 護るべき者


よく見れば結紀が泣いていた。結紀の心は張り裂けそうになっていた。昴輝と彰は、困惑の表情を浮かべるばかりだった。

「し、死なないで……。2人とも…お願い……。」

「……結紀。」

泣くな…っと昴輝は結紀に伝えようとしていたが、何故か口が重く伝えることができなかった。言葉の代わりに昴輝は優しく結紀を抱き締める。

そして、彰も優しく結紀の頭を撫でる。2人の温かさに、更に泣き始める結紀だったが2人は何も言わない。ただただ、結紀に寄り添うのだ。結紀が急に泣き出したのか、2人には分からない。

誰だ、結紀を泣かせる奴は…昴輝の心の中で黒い渦が漂う。昴輝は絶対に許さないとばかりに歯を食い縛る。だが、逆に彰の心の中では、嫌な予感と焦りを感じていた。何か良からぬことが起こるのではないか…と。

結紀が落ち着くのは数分後だった。涙を拭き、昴輝と彰に、ごめん…と短く伝える。だが、それ以降、何かを話そうとはしなかった。その時、結紀の動きが止まる。何かを感じ取ったみたいだった。

「……昴輝、彰…気をつけて。何か来る。」

それだけを言っては、3人とも戦闘態勢に入る。結紀は"その何か"が来る方向を見る。それにつられて、昴輝と彰もその方向を見る。その瞬間、"何かが"3人を横切る。それが、速すぎて何が来たのか分からなかったのだ。
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