第6章 大人の時間
「外国語を短い時間で習得するには、
その国の恋人を作るのが
手っ取り早いとよく言われるわ。
だから私の授業では・・・
外人の口説き方を教えてあげる。」
・・・あぁ、この先生
素直じゃないけれど、
きっとそんなに悪い人じゃないかもしれない。
「プロの暗殺者直伝の
仲良くなる会話のコツ、身につければ
実際に外人と会った時に必ず役立つわ。」
「「外人と・・・!」」
「受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい。
私が教えられるのはあくまで実践的な会話術だけ。
もし・・・それでもあんた達が
私を先生と思えなかったら、
その時は暗殺を諦めて出ていくわ。」
こんな状況慣れてないのだろう、
イリーナ先生は手を絡めながらモジモジし出す。
「・・・それなら文句無いでしょ?
・・・あと悪かったわよいろいろ」
最後にボソリと呟く先生。
わたしは彼女が今までで1番可愛らしく見えた。
「「「・・・・・」」」
少しの沈黙の後、
クラス皆の大きな笑い声に
イリーナ先生はビクッとしていた。
「何ビクビクしてんだよ。
さっきまで殺すとか言ってたくせに。」
「なんか普通に先生になっちゃったな。」
「もうビッチねえさんなんて呼べないね。」
「・・・!!あんた達・・・わかってくれたのね!」
前原くんや岡野さん達の言葉に
感動し、涙ぐむイリーナ先生。
「考えてみりゃ、
先生に向かって失礼な呼び方だったよね。」
「うん。呼び方変えないとね。」
「じゃ、ビッチ先生で!」
その瞬間、イリーナ先生・・・
もといビッチ先生が固まる。