第14章 ジャポニズム
とりあえず、何も手につかない状態
の俺は、マークの家に引っ越すこと
になった。
マー『智の荷物も、ちゃんとまとめる
んだぞ。
そんなに量も無さそうだし…それくら
いできるだろ? ってかやってやれよ。』
珍しく、少し強めなマークの口調に
松本は、素直に『はい』と頷いた。
きっと煮え切らない態度にも、今の
この生活にもイライラしてるんだろ
うな…
マークが帰ったあと、ようやく重い
腰を上げて大野の荷物をまとめ始め
る。
洋服…
画材道具…
ペアで揃えた食器…
日本から持ってきた漫画…
一つ一つ片づける度に手が止まって
しまってなかなか進まずまたソファ
ーに座って壁の大野が描いた絵をし
ばらく見つめていたがそれもはがし
た。