第8章 7月7日、合宿1日目!
『え?』
今が夜で本当に良かった。
動揺で若干ハンドルぶれた。
『孝支君どうして?』
聞き返すとさも当たり前のように答え始めた。
「最初にあれっ?て思ったのは勉強会の時。
洗い物から帰ってきた時なんとなく雰囲気が違ったし、帰りに忘れ物したって戻ったのも気になった。
貴重面な月島が忘れ物とか違和感ありすぎて。」
孝支君はそのまま続ける。
「その次に椎名さんが部活に来たのはテスト後だったんだけど、明らかに月島に対する雰囲気?態度が違ったんだ。
2人とも名前で呼びあってたしね?」
驚くほどの名推理です。
「あとは座席の件とか、今日の烏養さんの態度とか、今の雰囲気とか?」
きっと今孝支君ニコニコしてるんだろうなぁ…
「やっぱり菅原サンはすごいですね。」
「まぁ他の奴らは多分気付いてないと思うけどな。」
そう言うと孝支くんは蛍くんの席にぽんと顎を乗せた。
「でさー月島ー
俺に椎名さん譲ってよ?」
え?
え?
「渡しませんよ。誰にも。」
「俺も椎名さん好きなんだけど。」
「僕の方が好きですよ。」
なんだこの言い争い…
この子達事故にでもあいたいのか。
いやマジで。
動揺で運転乱れまくりなんですけど。
『ねえ…その話やめない?』
すると話の矛先が変わりターゲットが私に移る。
「じゃあ椎名さんはどっちが好き?俺、絶対に幸せにしますよー?」
孝支君が座席の間から身を乗り出してくる。
それを押しのける蛍君。
いや、今押しのけたのあなたの先輩だからね?蛍君。
「夏乃さんは僕のです。いくら菅原サンでも手出したら許しませんよ?」
『いや…だからね?』
「俺の!」
「僕のです。」
「俺の!」
「僕のです。」
『いい加減にしなさい!』
ここ、東北自動車道のど真ん中。
夜中だから車が少ないにしてもかなりのスピードが出てるわけで。
私運転中なわけで。
集中切れそうなわけで。
『寝てる子もいるの。静かにしなさい。』
「「でも…」」
『でもじゃない!次騒いだらSAに置いて行くからね!』
「「すみません…」」
『この話は禁止!わかった?月島くん?菅原くん?』
「「はい…(苗字呼びに戻ってる…)」」
まぁ、こんなゴタゴタはありましたが無事、事故も起こさずに音駒高校に到着したのでした。