第8章 7月7日、合宿1日目!
夜だからか比較的スムーズに車は進み、いつの間にか後ろの話し声は途絶えた。
みんな寝てしまったようだ。
それに合わせ流れていた音楽のボリュームを下げる。
「夏乃さん?」
『後ろの子達寝ちゃったみたいね?』
そう言って笑うと蛍くんは足元に置いた鞄をごそごそとあさり始める。
「眠気覚ましにガム食べます?」
『もらってもいい?SA(サービスエリア)までちょっと距離あるし…』
蛍君がガムを包み紙から出し差し出してくれたのを横目で見ながら受け取り、口に運ぶ。
『ありがと。蛍君』
前を見ながら微笑む。
と同時くらいに流れていた曲が終わり新しい曲が流れる。
桜をテーマにした女性ボーカルの有名な曲。
元の曲よりスローテンポにアレンジされたタイプの方が好きだったから入れていたけどすっかり忘れていた。
〜ほんの一行でも構わないんだ
キミからの言葉が欲しいんだ
ウソでも信じられるんだ
好きだから…〜
蛍君とはじめて会った時も桜咲いてたなーなんて思っていたら不意に横にいた蛍君が動いた。
と思ったら下ろしていた髪の毛を一房手に取り流れるような動作で口付けた。
「ねえつきしまー。」
寝ていると思っていた後方から声が聞こえたのでびっくりして、つい大きい声で聞いてしまった。
『こっ…孝支君!起きてたんだ!』
「車ってあんまり寝付けなくて…うとうとはするけど熟睡はできない感じ。」
動揺する私とは裏腹に2人は話をすすめていく。
「で、なんですか?菅原サン?」
「月島ってさー
椎名さんと付き合ってんの?」