第7章 You're mine
side月島
『ただいま…』
夏乃さんが玄関の鍵を開け、僕を招き入れた。
玄関から中に入るためパンプスを脱ごうとする夏乃さんを僕は後ろから抱きしめ、肩に頭をもたれさせた。
『けい…くん?』
絶対離さないとでもいうかのようにきつく、きつく抱きしめる。
「格好…わる」
きっと今僕は酷い顔をしている。
見られたくないからわざと後ろから抱きしめた。
ただの嫉妬だ。
夏乃さんは僕のだ。
他の奴にはやらない。
それだけがぐるぐる渦巻く。
僕はまだ高校生で夏乃さんは大人。
わかってはいたことだが、さっき夏乃さんが烏養カントクの隣にいた時にそれをまざまざと感じた。
このモヤモヤとした感情をどうすることもできなくて、今こんな風になっている。
情けない…
カッコ悪い…
でもどうしたらいいかわからない…
そんな時、僕の腕の中で夏乃さんが呟いたんだ。
『ミルクティー…飲まない?』
僕はゆるりと腕の力を抜き、促されるまま部屋に入っていったんだ。