第2章 春 出会い
『はい、ついたよー。』
烏野高校の駐車場に車をつけると同時にドアを開け飛び出していく冬乃。
「ちょっと待っててー!すぐ戻る!」
小さくなる背中を眺めつつふと周りを見渡せば懐かしさが蘇った。
実は私、夏乃も烏野高校の卒業生だ。
卒業してから7年も経てばすっかりあの頃のことは思い出の中だ。
ふとどこからか風に乗って桜の花びらが飛んできた。
そういえば桜の木ってどこにあったっけ?
花びらの飛んできた方向を辿っていく。
『東北は桜の開花が5月頃だから「さーくらさいたら1年生♪」じゃないんだよなぁ』
なんてつぶやきながら歩いていると目の前にボールが転がってきた。
ついついしゃがんで拾ってしまう。
『バレーボール…』
バレーって室内の競技でしょ。
なんで外まで転がってきてるのかしら。
なんて思いながらボールが転がってきた方向を向くと同時に目を開けていられないほどの突風が吹く。
ゆっくり目を開けると目の前には知らない男の子がいた。