第5章 目指せ!赤点回避!〜ハラハラの勉強会〜
『ごめんね?みんなの前では渡しづらかったから…』
家にもう一度招き入れ、玄関で待っていてもらい私はキッチンに戻りあるものを持ってきた。
『これ、余ったから持って行って?
今日のお礼。
それと
今日はありがとう。蛍君。』
実はさっきケーキを切り分けて食べた際ショートケーキがワンカットだけ残っていた。
そこで、さっき美味しそうにショートケーキを食べていた蛍君にお礼がてらプレゼントをするために呼び出したのだった。
「…大丈夫…ですか?」
なんて少し心配そうに言われてしまった。
やっぱり心配させちゃったよね…
『いっぱい泣いて元気でた!
こんな姿見せてごめんね?』
ふわっと微笑むと蛍君はちょっと顔を赤くしてぶっきらぼうにこたえた。
「別にいいですケド…」
『これ、ひとつしかないからみんなには秘密だよ?』なんて唇に人差し指を当てて笑う。
「椎名さん….」
蛍君に名前を呼ばれたから上がりかまち(玄関の段差)ギリギリまで近づいた。
私、ちょっと油断してたみたい。
蛍君が優しかったから。
あっという間に腰を引き寄せられ抱きしめられた。
『蛍君 ⁉︎ちょっと!「油断しすぎなんデスよ。
高校生だからって舐めてたら痛い目にあいますよ?」
「僕と他の人には言えないヒミツ、もっと作りませんか?」
いつもより低い声でささやかれたため驚いて顔を上げるとそこからはもう一瞬だった。
気づいたときには蛍君の顔が目の前にあった。
そして唇にかすかに残る感触…