第34章 決勝、その後。
蛍君が目を覚ましたようなので私は美幸さんに会釈をし、蛍君がいるソファーに近寄った。
『蛍君、おはよ?』
なんかいるはずのないものを見たって感じで見られてるんだけど…
「夏乃さん…なんでうちに?」
『蛍君迎えに来たの。』
「何時頃?」
『えーっと…30分くらい前かな?美幸さんにお茶ご馳走になって待ってたよ?』
「なんで母さんのこと名前で呼んでるの?」
「私が呼んでって言ったのよー?そっちの方がいいかなって思って。」
突然の美幸さんの声にがばっと音が聞こえそうな勢いで起き上がり声がした方を見た。
「ねえ、母さん、兄貴…夏乃さんきたんなら起こしてよ。」
蛍君は頭を抱えている。
『待ってる間楽しかったよ?』
「そういう問題じゃなくて…もういいや…」
蛍君はソファから立ち上がると「顔洗ってくる」と一言呟き、部屋から出て行った。
「蛍のあんな顔初めて見たなぁ。」
「そうねぇ。」
2人はくすり、笑った。
『じゃあ今日、明日、息子さんお借りしますね?』
先に車に行こうと思い部屋を出ようとすると私は美幸さんに呼び止められる。
「明日、うちで夕飯食べない?夏乃ちゃんが食べてくれるんなら頑張ってご飯作るわよ?」
ふわりと微笑んだ美幸さんに私は笑いながら返事をした。
『喜んで!』