第33章 決勝戦vs白鳥沢

蛍君は白鳥沢のセッターを観察する。

セッターがあげたボールに反応し、素早く飛んだ蛍君を見て仁花ちゃんが呟く。

「月島君 序盤より反応速くなってるような…!?」

それを聞いた烏養監督はにやりと笑う。

「リード・ブロックの速攻に対する目的は止めることより『触る』こと。
眼鏡小僧は『ボールを追うこと』だけを貫いてきた。」

『だから、慣れてきてもおかしくないよ。』

蛍君の弾いたボールを打つために日向君が走り出す。

「いけ！」


蛍くんの声で日向君は飛び、マイナステンポのバックアタックを放つ。

打った先にはブロックがある。

白鳥沢コートに弾けたボールを牛島君が打つ。
返ってきたボールを日向君が体で受け、繋ぐ。

何回も何回もスパイクを打つが弾かれ、必死で守る。








がんばって
無理しないで
もう頑張らなくていい

いろんな思いが交差する

ネックレスをつかむ手は握りすぎて色をなくしている。

1点
あと1点



ボールが宙を舞う。

勝って

勝って

勝って！


ボールが地面に落ちる音がした。



ピピー！

終了のホイッスルが鳴り響く。

いつの間にか瞑っていた目を開けるとボールは白鳥沢のコートに堕ちていた。