第33章 決勝戦vs白鳥沢
「うんこ野郎だな。」
緊張が続くこのタイミングで気の抜けるような言い回しが聞こえた。
この声は…
後ろを振り向くと後ろの方に見える2人の少年。
目があうと1人は手を振り、もう1人は会釈をする。
私は一度話しかけるためにそちらに向かった。
「夏乃さーん!昨日ぶりっ☆」
「うんこ川うるせー」
及川君…岩泉君…
『来てたんだ。』
「うん☆どちらかの負けっ面拝みに来た☆」
ニコッと笑いながら言うと、急に及川君は真剣な顔になる。
「で、どうしちゃったんだよあの眼鏡君は。
最初の練習試合の時はちょっと賢いのっぽくらいに思ったのにサ。」
後ろを振り返る。
コートではラリーが続いている。
みんながボールに向かって走る。
重たい足を無理やり動かしながら必死にボールを追いかけていた。
そんな時聞こえた気がしたんだ。
「俺が打つ」
蛍君の声が。