第33章 決勝戦vs白鳥沢
ベンチに蛍君が戻ったことを確認すると、急いで観客席に戻る。
先に戻った仁花ちゃんが蛍君の怪我について話していてくれたので私は手すりにつかまり、前のめりになりながら試合の状況を確認する。
試合はデュースになっていた。
蛍君は日向君と一緒にベンチで交代を待つ。
影山君のツーアタックが決まり、15-15。
蛍君がコートに戻った。
蛍君は早速ブロックの指示をしているみたいだ。
「飛雄と蛍も戻った…!さあ、反撃だよ‼︎」
コートでもラストに向けて円陣が組まれている。
「ここ踏ん張んぞ‼︎」
「「「オオッ‼︎‼︎」」」
試合が再開されるとすぐに飛んでくる牛島君のスパイクをブロックする。
蛍君の顔が痛みで歪む。
痛くないわけがない。
「ワンタッチ!」
体育館に蛍君の声が響く。
縋るように胸のネックレスを握りしめる。
西谷君の視界を開くために飛ぶ蛍君。
西谷君がつなげ、ラリーが続く。
5セットも試合をしているみんなは限界がきていた。