第33章 決勝戦vs白鳥沢
スターティングメンバーの発表のあと、コートを見ていたみんなが口々に話をしだした。
「うぅ、アイツらの緊張、感染(うつ)ってきた…」
みんなを見ながら苦しそうに胸を押さえる冴子ちゃん。
「アップん時の日向の1発見た時は割といい雰囲気だなって思ったけどな…」
「白鳥沢にとっては何度も踏んだ道、対して烏野は初めての決勝、初めてのセンターコート。平常でいられないのも無理ねえよなぁ…」
そう話すOBコンビに不思議そうな顔の明光さん。
「決勝が初ってことは5セットマッチも初ですか?」
「5セット?」
バレーの試合をあまり見たことのない冴子ちゃんは不思議そうにOBコンビを見る。
そういえば私も知らないな…
「今までは2セット先取3セットマッチだったけど、決勝は3セット先取5セットマッチ。」
『そっか…テレビとかで見るトップレベルの試合と同じなんだ…』
「ええ!めっちゃ疲れるじゃん!」
「それな…あと、スタミナも心配だ。」
暗くなるバレー部OB3人。
それを見ていやいやいやと突っ込みを入れる冴子ちゃん。
「あたしらが暗くなってどうする!」
『そうですよ!プレーするのは私達じゃなくて烏野のみんななんだし!』
「観客の皆様
両チームの健闘に盛大なご声援をお願い致します。」
放送が入るとみんなは無理やりテンションを上げ声援を送る。
『あれ?今日、いつもとスタートの位置が違う?』
コートを見ると、いつものスターティングの並びと違っていたので私は首を傾げた。
そんな私の疑問に答えるように、滝ノ上センパイは補足をしてくれた。
「多分牛島に対してできるだけ烏野の高い壁がマッチアップするようにじゃねえか?」
ピーーーーーッ
ホイッスルが会場に鳴り響く。
試合
開始。