第33章 決勝戦vs白鳥沢
序盤から烏野は、サーブミスにお見合い。
緊張してるのか体が硬い。
大丈夫かなって心配しているとウォームアップエリアから怒号が聞こえた。
「落ち着けぇぇぇぇぇ‼︎自滅してる余裕ねえぞォアア‼︎‼︎
何にビビってやがるテレビか‼︎‼︎浮かれてんじゃねええええ‼︎‼︎」
怒鳴り声を上げた孝支君を見て主審が睨みを利かせている。
みんなを落ち着かせるためだと思うけど孝支君やりすぎ…
それでも怒号の前よりはみんな体が動いているみたい。
そんな中…
きた
牛島君のスパイク
烏野の守護神が走りだし、ボールを捕らえた
と思った。
ボールは西谷君の腕を弾き後方に飛んでいく。
西谷君が取れないボールがあるなんて
威力だけだったら西谷君は絶対取れる
昨日の及川君のサーブも正面だと取れていたし。
何が違うんだろう…
必死に観察をしていると冴子ちゃんが何かに気づいたようで声を上げた。
「あれ!なんか変な感じすると思ったら向こうの1番左利き⁈」
そうか、違和感の正体はこれか。
基本ブロックは相手の利き腕の正面に飛ぶ。
だから普通は右腕の前に飛ぶ。
けど左利きだと体に染み付いた感覚で飛んでしまったらどうやっても食い違いが起き、ブロックの位置がずれてしまう。
そう、蛍君の体に染み付いたブロックが仇になっている。
「烏野のブロック笊(ざる)かよ」
不意に後ろから聞こえた声。
何も知らないのに勝手なこと言わないで
上段にいた観客を私は睨みつける
気づけば隣にいた明光さんも同じ反応をしていたようで上段の先ほどの観客はびっくりしている。
右から打つボールと左から打つボールは回転が違う。
さらにスパイクを打つ力は最強クラス。
強い….