第32章 春高予選決勝前夜
今まで強敵に立ち向かうのは日向君や影山君達で
蛍君は一歩引いたところで見ているようにみえていた。
できないと思ったらやらない。
そこそこ平均を取っている、なんて夏合宿に繋心センパイに言われてたっけ。
そんな蛍君が
自分がやってきた全てを出し切ろうとしている。
嬉しすぎて涙がこぼれそうになるが必死にこらえる。
涙は勝った時に流すために取っておくんだ。
『蛍君ならできるよ?
大丈夫。』
ありきたりな言葉しか出てこない自分に嫌になる。
自分のボキャブラリーがもっと多かったらもっといい言葉をかけれたのかもしれない。
「いつもみたいに
見ていてください。
夏乃さんが見ていてくれたら
いつも以上に頑張れる。」
『うん。見てる。
蛍君のこと、見てる。』
私達は約束をするかのように口付けをした。