第31章 代表決定戦2日目〜因縁の対決〜
深く濃厚なキス。
舌を差し込まれ絡められる。
舌が絡みあい起きる水音と
私の吐息が
廊下に響いた
『け…くん…だめ…だ……て…』
人に見られていることによる羞恥心と
他の誰かが来るかもしれないという焦りが入り混じり
いつも以上の快感をもたらす。
蛍くんが唇を離す頃には
私はすっかり腰が砕け立てなくなっていた。
ずるずると床に沈み込む私を咄嗟に支えてくれる。
『けぇくんの…ばか……』
「”もっと”の間違いじゃないんですか?」
『蛍くんなんか知らない…』
「ねえちょっと‼︎及川さん除け者にしないで‼︎‼︎」
泣きそうな及川くんの声で及川くんの存在に気がつく。
「あ、まだいたんですか。」
「いたよ!ずっといたよ‼︎」
『今ものすごく岩泉君にいてほしい。』
「同感です。」
「なにそれ‼︎及川さん邪魔⁉︎」
「呼んだか?」
…え?
『岩泉君⁈』
声がした方を見るとそこには岩泉君がいた。
『いつからいたの?』
「えっと…言ってもいいのか?」
微妙に顔を赤くし、目線をそらす岩泉君。
うん、なんかごめん…
「このエロ川が迷惑かけたみたいで…」
「ちょ!岩ちゃん‼︎ひどいよー!」
「うるせぇ‼︎残ったやつ呼びに行ったお前がこねえからって結局俺が動くことになってんじゃねーか!クソ川‼︎」
ごつんっといい音がして及川君の頭に岩泉君の拳が入る。
及川君の叫び声が聞こえたかと思うと、岩泉君は及川君のジャージの襟を持ち引きずっていく。
『岩泉君よろしくね?』
「クソ川が迷惑かけました。」
「ちょっ!岩ちゃん!まだ話し終わってないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお‼︎‼︎」
ぺこりとお辞儀をして去っていく岩泉君に引きずられる及川君。
去り際も及川君うるさい。
2人がロビーから去り、私たちは取り残される。
「立てますか?」
蛍君が腰を支えていた手を離すがまだ腰が立たない。
『…無理』
蛍君はため息をつくと私を軽々抱っこしてロビーを歩く。
『…私、編集部行かなきゃならないんですが…』
「車まで送りますから、それまでに立てるようになってください。」
『…善処します。』
このあと私は蛍君に車まで送ってもらい、腰が立つまで休憩したあと、編集部へ戻ったのだった。