第31章 代表決定戦2日目〜因縁の対決〜
side月島
『及川くん…離しなさい…
冗談にしては過ぎるわよ…』
夏乃さんは笑った。
だけど
冷たい
冷え切った声。
及川さんも気づいたのか夏乃さんから手を離し降参とばかりに両手を上げる。
「ごめんごめん。及川さんが悪かった。
冗談のつもりはなかったけど…」
『今、蛍君が来たの見えてたんでしょう?冗談にしてはやりすぎ。』
「それ、どういう…」
『もしかして、キス…してるように見えた?』
ん…してるように?
『はーな?鼻よ?』
「ごめん意味がわからない」
「じゃあ及川さんがせつめーしてあげよー☆」
『「及川君(さん)は黙ってて(ください)」』
「うわ息ぴったりだね☆及川さん妬いちゃう☆」
『今交換したメッセージアプリのアドレス消去しておくね?』
「夏乃さんごめん…」
夏乃さんは及川さんから離れ、僕の方に歩いてくる。
ふわり
『ごめん…蛍君。』
そんな風にされたら
怒れないじゃないですか…
『ごめんね?』
「許さない」
嘘だ
天邪鬼な僕の口は
本当の気持ちと逆を紡ぐ。
『どうしたら許してくれる?』
「…す」
『え?』
「キス…してください。」