第31章 代表決定戦2日目〜因縁の対決〜
side月島
忘れ物をしたって言っていた夏乃さんがいつまでたっても戻ってこないので心配になった僕は夏乃さんを探しに体育館の中に戻った。
あの年で迷子とか…ないデショ…
僕はロビーを通り、体育館に続く廊下を進む
はずだった。
今、目の前で起きているのは何だ…?
僕の姿を認識した大王様…及川さんがにやりと笑う。
そして目の前にいた夏乃さんに
口付けた。
自分の頭に血が昇るのがわかる。
僕は憤る気持ちを何とか抑えながら夏乃さんがいる場所に歩いた。
「何…やってるんですか?」
自分の声はこんなに低かっただろうか。
及川さんと目が合う。
「何を…やってるんですか?」
「夏乃さんが可愛かったから…つい…ね?」
『ちょっと…及川君!離してっ…』
体を離そうとする夏乃さんを軽々抱きとめる及川さん。
「ねぇ、夏乃さん。俺の物にならない?
俺、将来有望だし、優良物件だと思うなー?」
やめてくれ
夏乃さんの首筋に指が這う。
「どう?夏乃さん。」
侮蔑した目で
僕を見ないでくれ
「どうするの?メガネ君?」
これは挑発
わかってはいる
けれど
苛立ちを抑えきれない
自分の感情をコントロールできない
他の男に軽々しく唇を奪われないでくれ
その手を
肌を
触らせないで
視線を
交わらせないでくれ
暗くドロドロとした感情が体内を渦巻く
無理やり奪い返してめちゃくちゃにしてやろうか
僕のことしか見えないように