第31章 代表決定戦2日目〜因縁の対決〜
烏野のみんながバスに荷物を積んでいる時、私は観客席に忘れ物をしたことに気づき取りに行った。
目当てのものを見つけ玄関ロビーに向かう。
細長い廊下が開け、広いロビーに出た時、私は咄嗟に1度来た道を戻り体を隠した。
そこには白鳥沢のジャージ…牛島君と及川君がいた。
二人は何かを話している。
「俺ばっか注視してると
思っても見ない方向からぶっすり刺されるからね。」
「どういう意味だ」
「俺の後輩、頭悪いし、まだぜーんぜん俺にかなわないけど
それでも独りでなくなったあいつは強いよ。」
王様。
昔、影山君についていた異名。
負けないために必死にプレーをしていた影山君に置いて行かれた仲間がつけたもの。
中学最後の試合でトスを回した先に信頼していたはずの「仲間」はいなかった。
だから孤独の王様。
でも今は違う。
日向君がいて、
蛍君と山口君がいて。
他のみんなが居て。
あなたのトスを待っている人がいっぱいいる。
孤独の王様は
仲間からの信頼で
何倍も
何十倍も
強くなった。
きっとこれからも
もっともっと
強くなる。